ART(生殖補助医療)|文京区千駄木の産婦人科 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科

ART(生殖補助医療)

ARTとは

体外受精や顕微授精など、高度な不妊治療のことをART(生殖補助医療)といいます。卵巣で成熟させた卵子を一度身体の外へ取り出し、受精させた後に子宮へ戻す治療です。
日本では日本産科婦人科学会へ登録した施設のみがARTを行えることとなっており、全国で約600の施設が登録されています。
ARTで生まれるこどもの数は年々増えており、2018年分の統計ではおよそ16人に1人が体外受精の技術により誕生したことが報告されています。

ART学級

当院では月に1度『ART学級』という説明会を開催しており、ARTによる治療を希望される方には全員受講をお願いしています。
卵巣刺激の方法・受精方法・胚移植方法や通院・費用負担などについてARTの概要を1.5~2時間程度で解説致します。
※密を避けるため、現在は午前中の診察時間内に個別の説明時間を設けております。

卵巣刺激

当院では自然周期~低刺激(薬剤をあまり使用せず通院回数が少ない方法)~高刺激(毎日注射による刺激を行う方法)いずれの方法にも対応しています。
刺激方法は、卵巣の状態とご夫婦のご希望により選択していきます。
2020年に採卵した209周期の低刺激・高刺激の割合は以下のグラフの通りです。

採卵

採卵室には麻酔器や生体監視モニターを備え、かならず複数の医療スタッフで採卵にあたっています。
ご希望により無麻酔・局所麻酔での採卵も行うことができます。

受精

ARTでの受精方法には媒精法と顕微授精法があります。
どちらを用いるかは、運動精子の数と、これまでの治療経過により選択していきます。
2020の採卵では、媒精法53.1%・顕微授精法29.7%・併用法7.7%により治療を行いました。
顕微授精にはSL-ICSIを導入しており、顕微授精全例で卵子の染色体の位置を確認し安全性を高めています。

  • 通常の顕微鏡の写真

  • 偏光板を使用した写真(6時方向に染色体が確認できます)

受精卵の培養

2017年にWOW培養法(LinKID)を導入し、全症例で用いています。
当院では全ての受精卵を胚盤胞まで培養し、一度凍結する方法(全胚凍結)で治療を行っています。
着床環境を整えた上で胚盤胞を移植することで、最も高い妊娠率が得られるためです。
卵巣刺激の方法にもよりますが、採卵した周期の40~60%で1個以上の受精卵が凍結できています。
また、2020年に導入したタイムラプスインキュベーターにより、胚発生の一部あるいは全期間を観察・記録しています。

胚移植

当院では原則としてエストロゲン貼付剤とプロゲステロン座薬を用いたホルモン補充周期にて、凍結融解胚盤胞を移植します。
着床を補助するため、移植胚にはアシステッドハッチング(透明帯をレーザーで切開しています)を行い、全症例にEmbryoGlue(ヒアルロン酸を添加した、胚移植専用の培養液)を用いて移植を行っています。どちらの技術にも追加料金はかかりません。

  • 透明帯から孵化(ハッチング)中の胚

  • 孵化後の胚

昨年の成績

2020年1月から12月までの期間で、104名の患者さんが209周期の採卵を行いました。
104名の患者さんの年齢は20代が7名(6.7%)、30-34歳27名(26.0%)、35-39歳37名(35.6%)、40代33名(31.7%)でした。

2020年に凍結融解胚移植を行った102周期のうち、妊娠反応が確認されたのは64周期(62.7%)、胎嚢が確認されたのは42周期(臨床妊娠率41.2%)でした。
そのうち32名の方が出産または妊娠継続中です。

近年の成績

以下のグラフは過去10年間の採卵周期数・採卵周期あたりの全胚凍結率・凍結融解胚移植周期数・凍結融解胚移植あたりの臨床妊娠率を示したものです。


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