着床前検査|文京区千駄木の産婦人科 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科

着床前検査

着床前検査とは

着床前検査(PGT;Preimplantation Genetic Testing)とは、ARTで得られた胚(受精卵)から数個の細胞を生検し、染色体や遺伝子を検査する技術のことです。検査の対象と目的によって3種類のPGTに分けられます。

PGT-M(Monogenic)
重篤な遺伝性疾患をお持ちの方が対象です。
PGTの中で唯一、遺伝子をターゲットにした検査です。
検査して良い遺伝子は、日本産科婦人科学会によって厳密に規定されています。
PGT-SR(Structural Rearrangement)
反復流産の方が対象です。
染色体の構造異常を検査します。
ご夫婦のどちらかが生殖に関係する染色体の転座保因者であり、流産を繰り返している場合に実施します。
PGT-A(Aneuploidy)
不妊症の方・反復流産の方が対象です。
染色体の数が正しい数(46本)揃っているかを検査します。
流産の約80%は偶発的に起こる胚の染色体異常が原因のため、染色体の数が正常な胚だけを移植することで妊娠率の上昇や流産率の低下が期待できると言われています。

PGT-A臨床研究について

PGT-Aは長い間日本国内での実施は禁止されてきましたが、日本産科婦人科学会の主導により2020年1月より「反復体外受精・胚移植(ART)不成功例、習慣流産例(反復流産を含む)、染色体構造異常例を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の有用性に関する多施設共同研究」という臨床研究がスタートしました。PGT-AをARTにおける一般的な検査項目とする前段階として、PGT-AがARTでの着床率をどの程度改善するのか、また流産をどの程度回避することができるのか、ということを多数の施設の成績を統計して調べるものです。
当院はその分担施設として認定されたため、学会が提示した条件に当てはまる患者さんにPGT-Aを実施することができます。

PGT-Aの対象

PGT-Aは現在臨床試験の段階であり、日本産科婦人科学会が認定した施設でしか実施することしかできません。対象の患者さんには臨床試験に参加していただく、という形式で治療をすすめています。
対象となるのは、戸籍上の夫婦であり、以下に当てはまる患者さんです。

①反復ART不成功の患者さん
直近2回の胚移植で2回とも臨床妊娠に至っていない患者さん(2回とも妊娠反応マイナスまたは化学妊娠に終わった方)
②反復流産の患者さん
過去2回の臨床妊娠(超音波による胎嚢確認後)で2回とも流産している患者さん
(ご夫婦の染色体検査が必要です)

上記の①②どちらかに当てはまる患者さんは、PGT-A臨床試験に参加できる可能性があります。
対象の患者さんで、PGT-Aにご興味のある方は診察時に医師にお申し出ください。
※当院に通院中のご夫婦に限ります。他院にて治療中の方は当院でARTを行う必要がありますので、紹介状をご用意のうえ女性診療科の初診予約をお願いします。

ただし①②に当てはまる患者さんでも、日本産科婦人科学会が別に定める除外項目に該当する場合はご参加いただけません。

PGT-Aで分かること

図1. ヒトの染色体(男性)

ヒトの細胞には46本の染色体があります(図1)。
22種類の常染色体と呼ばれる染色体が2本ずつあり、サイズの大きい方から順番に番号がついています。残りの2本は性染色体と呼ばれる染色体で、X染色体とY染色体があります。X染色体が2本あると女性に、X染色体とY染色体が1本ずつあると男性になります。

PGT-Aとは、胚の染色体が正しい数(46本)揃っているかどうかを調べる検査です。
胚の細胞の染色体に数的異常(数が多い・少ない)があると、着床しないか、早期に流産することがほとんどです。

・染色体の数が足りない場合、ごく一部の例外を除いて、その胚は着床することができません。
・染色体の数が多い場合、早期に流産することがほとんどですが、21番(ダウン症候群)・18番・13番の常染色体や性染色体が1本多いだけの場合、出生に至ることがあります。
※異常の検出される染色体が1種類だけとは限りません

PGT-Aで分からないこと

  • それぞれの染色体の部分的な重複や欠失、構造異常については分かりません
  • 倍数体(3倍体:染色体が69本、4倍体:染色体が92本)は分からないことがあります
  • 個々の染色体にある「遺伝子」の異常を捉えるものではありません(がん遺伝子など)
  • 検査の結果、胚の性別をお伝えすることはありません
  • 児の心身の発達について保証するものではありません
  • 検査の精度は80-90%と言われています

PGT-A臨床研究参加の流れ

  1. 臨床研究参加のご希望をお伝えください
  2. 妊娠歴、治療歴、生活習慣等についてお伺いします
  3. 本研究について詳しい説明を行った後、研究参加の希望があれば同意書へ署名してください
  4. 感染症、ホルモン基礎値、AMH値、ご夫婦染色体、子宮鏡検査などを必要に応じて行います
  5. 排卵誘発・採卵を行い、受精卵を培養します
  6. 胚盤胞へ発生したら、栄養外胚葉(図2)を5-10個生検し、染色体検査を行います結果が出るまで10日ほどかかります)
  7. 移植可能と判定された胚があれば、胚移植を行います(移植できる胚は1回に1個です)
    移植可能胚が得られなかった場合は、再度採卵をプランニングします
  8. 妊娠判定は胚移植後1週間後と2週間後の採血により行います
  9. 妊娠12週(胚移植後約9週間)までは当院での診察となります。流産した場合は染色体検査を行います。
  10. 出生前診断(NIPTまたは羊水検査)は必須ではありません
図2.胚盤胞生検

カウンセリングについて

PGT-A臨床研究に参加する前、あるいは参加の同意後など、患者さんが希望する時にはいつでも生殖医療外来スタッフや臨床遺伝専門医のカウンセリングを受けることができます。

費用について

通常のARTの費用に加えて、PGT-Aでは胚盤胞1個あたり6万円の費用がかかります。
保険適応外となり、また自治体による特定不妊治療助成金事業の対象外の検査です。

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